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カルトの子―心を盗まれた家族 (文春文庫)

著者:
出版社:文藝春秋
定価:¥ 670
頁数:354
発売日:2004-02
評価:3.5 / 5.0
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自分がこの子供達と同じ立場だったら・・・

この本で取り上げられているのは「オウム真理教」「エホバの証人」「統一教会」「ヤマギシ会」に“親の都合”で入信し、その団体での生活を経験した子供達だ。

なかでも著者との関係が最も深いのが「ヤマギシ会」のようである。しかし、その関係は、“対立”だ。著者からみれば、ヤマギシ会の子供達は救わなければならない対象であり、会からみれば著者は楽園を汚す侵略者だ。

そんな関係なのだから、このルポは著者の主張(あるいは著者が関係した子供達の言葉)だけが書かれ、ヤマギシ会をはじめ団体の主張は、いわゆる公式見解の引用にとどまっている。それをもって、公正さに欠けているためルポとして失格だという考えもあるようだ。

たしかにそうかもしれないが、この本はそもそもルポではなく、“親の都合”で入信した子供達が受けた身体的・精神的虐待を告発した告発本なのだから、公平性の指摘は当たらないと思う。また、この本で紹介された子供達の言葉がその団体で行なわれていることの全てでないのかもしれないし、団体での生活に幸福感を感じている子供達もいるのかもしれない。しかし、この本に書かれている事実が存在する以上、著者の一方通行的な告発は意味を持つ。

また、タイトルの「カルト」という言葉の使い方に違和感を覚える方もいるようだが、出版物に限らず商品として売られるものは、他人の眼に触れなければ手にとってもらえる機会はない。しかも、この本の目的は告発だ。どんな理由であれ、手に取って読んでもらわなければ、書かれていることを知ることはできないのである。

「カルト」という言葉の使い方の難しさについては、著者も作中で書いているのだが、“あえて”この言葉をタイトルとしたのは、販売戦略上の理由があるにせよ、そういう理由もあると考える。

信教を選択する権利を奪われた子ども達

 日本は他国と比べ、宗教に対する免疫力が低い。よって、宗教といえば何でもかんでも過保護にするか、
逆に弾圧するかの極論になるケースが多い。「まー迷惑かけなけりゃよくね?」みたいな適当な構えが
ベターなのかもしれない。

さて、宗教トラブルは他人・知人同士だと見えやすいが、家族内・・・特に親子となると、一気に見えにくくなる。
本書は、親が宗教に没頭したために『二世信者』『三世信者』となってしまった子供にスポットを当てている。
繰り返すようだが、本書を読んですぐに宗教に対し拒絶反応を起こすべきではない。
それは「選択した者」の自己責任問題である。ただ「選択自体を奪われた者」が、どのような人生を歩んできたか、
そして歩んでいくのか・・・・多くの人に知って欲しい。

「ママの魔法が早くとけて,早く愛子のところに戻ってきますように」

 1992年,ヤマギシ・豊里実顕地で,中学2年の女子が飛び降り自殺した。ヤマギシは,「誤って落ちた」としか説明せず,他の会員たちも「なんであんないいところに入れてもらいながら自殺するんだ」とささやく始末。
 少女の両親は,娘の死の真相を究明するどころか,次女をヤマギシから引き取ろうともしなかった。


 母親の住所を調べ一度だけ電話をしたことがある。自殺から七年が経過していた。彼女は一方的に同じことをうわ言のように繰り返ししゃべった。
「こっちの社会もそうであるように,ヤマギシにもいいところと悪いところがありますから。ヤマギシばっかりが悪いわけではないでしょ」
 娘がなぜ死を選んだのか。突き詰めればヤマギシとそれを信じた自分の問題に返ってくる。それを避けるために,無意識のうちに娘の死と自分の感情との間にバリアを張ってしまったのだろう。病んでいるとしか言いようがなく,私はただ頷くしかなかった。(262頁)


 オウム,エホバ,統一教会,ヤマギシといったカルト団体でいかに子どもが虐待されているのか,そのことを当の親たちはどのように捉えているのかといったところを丁寧に取材した力作。

どの方向から見るかだよね。

カルトなんだ!って視線で書いたらこうなるんだろうなって感じ。
公平に、ニュートラルな視線で世界を見たいと思う人には向かないっぽいっす。
逆にドロドロした昼ドラが好きな人には向いてるかも。

カルトについて

伝統的な意味でカルトは、あらゆる形式の崇拝や儀式を指します。が、昨今、意味が変わりました。<新しい、非正統的な教義や慣行を推進する生きた指導者を指すグループ〉だそうです。

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